世間は狭い、って話。
世間は狭い
という話をします。
これは、デリヘルの店長を辞めて地元に戻った頃の出来事です。
まず前提として。
送迎ドライバーは、基本的にキャストの待機部屋へ迎えに行きます。
ただ、待機部屋は複数人で使うため、集団が苦手なキャストは自宅を待機場所にすることもあります。
その場合、迎え先はキャストの家になります。
地元に戻って数ヶ月が経った頃、
ある事情で親友の友達と関わるようになりました。
そこから一気に仲良くなり、頻繁に連絡を取って、ご飯に行ったり、「送ってって」と気軽に頼めるくらいの関係になりました。
ある日も、いつものように行き先を言わず「とりあえず送って」と頼みました。
迎えに来てもらい、車に乗り込み、
「とりあえず○○号(国道)乗って」とだけ伝えて出発。
しばらく走ったあと、
「で、どこ行けばいいん?」
と聞かれました。
そこで、軽いボケのつもりで
「○○(町の次に来る地名)行ってー」
と答えました。
普通なら「どこそれ?」と返ってくるレベルの地名です。
県 → 市 → 町(大字) → 字、の“字”レベルの場所です。
ところが友達は、
「あー○○ね、了解!」
と即答。
「え、知ってるの?」と聞くと、
「元カノが一人暮らししてた場所が○○やったから」と。
「なんや、知っとったんか。とりあえず向かって」
そんな会話をしながら目的地へ。
話の流れで友達が言いました。
「元カノのアパート、1階にコインランドリーあったんだよね」
僕は即座に
「あー、○○のスーパーの目の前のとこね」
と返しました。
「そうそう!詳しいね」と言われ、
「小2までその辺住んでたし、送迎やってた時もここ迎えに来たことあるからな」と答えました。
すると友達が、
「じゃあキャストと隣の部屋とかやったら、すれ違っとるかもね」
と。
僕は、
「顔は覚えてないけど、アイコスめっちゃ吸ってて、ローソンのからあげクン好きな子やったわ。奢らされたし」
と言いました。
その瞬間、空気が変わりました。
「ちょっと待って。元カノもからあげクンめっちゃ好きやし、アイコスも吸ってる」
「いやいや、まさか」
「それ、いつぐらい?」
「6、7年前かな」
友達は黙って逆算し始めました。
「…付き合っとったの、6年前や」
「他に情報ない?名前とか」
「本名は知らん。源氏名で呼ぶからな。
でも、このアパート選んだ理由は覚えてる。外観は古いけど中はリノベしてて、めっちゃ綺麗って言ってた」
「待って、元カノもそれ言ってた」
「そんなことある?」
「そのキャストの名前わからん?」
僕は、今も送迎をしている同級生に電話しました。
「あのさ、○○のコインランドリーの上に住んでたキャストおったよな。本名わかる?」
「兄貴と仲良かったから聞いてみるわ」
折り返しの電話。
「○○か○○やったと思う。苗字はわからん」
電話を切り、
「お前の元カノ、○○か○○って名前?」
と聞くと、
「○○(後者)やわ……」
そして車内に響いた一言。
「やられたーーーーーーー」
僕は爆笑。
友達は発狂。
もし僕があの時ボケなければ。
友達がコインランドリーの話をしなければ。
僕がその地域に詳しくなければ。
友達がそもそも車を出してくれてなければ。
僕が覚えていなければ。
ツレがまだ送迎を続けていなければ。
偶然と偶然が重なって
元カノの“彼氏に黙っていたこと”が発覚した。
という話です。
世間は本当に狭い。
悪いことをするなら、
せめて誰にもバレないくらい徹底することですね。

